前記事の工事で使用した部材 [フレアレスジョイント] を覚えていますか?
今日はエアコン工事を含む配管工事に改革を起こすかもしれない [火無し工法]についてご一緒に考えてみませんか?
[溶接ってなに?]
エアコン工事では柔らかい金属である銅を使った冷媒管を使用します。
一般家庭のルームエアコンのような簡易的な設備でも、商業施設・工場の業務用エアコンなど大規模な設備でも同じです。
業務用エアコンの工事では、長く複雑なルートを曲がりくねりしながら室内外機を接続するので、溶接によって配管を延?する作業が最重要となってきます。
特にパッケージエアコンのように配管の分岐が起こる際には溶接は必須です。
[いつ溶接が必要なの?]
上記のように業務用エアコンの配管新設工事の際には溶接は必須の作業となります。
そのほか、故障修理対応の際にも溶接の技術が必要となります。
以下の例をご覧ください。
・ガス漏れ修理
・コンプレッサー(圧縮機)の故障修理
コンプレッサーとは室外機の中にあるエアコンの心臓のことです。
圧縮機という名称の通り、冷媒を圧縮することで気体の温度変化を発生させる働きがあります。
私たちの心臓がポンプのように働き体内に血液を循環させるように、コンプレッサーも温度調整をした冷媒ガスをエアコン内に循環させているのですね。
このように、エアコンに関連する作業に溶接は欠かせないのがおわかりいただけたでしょうか?
しかし近年、溶接を ’’しない’’ 現場、’’させない’’ 現場が増えているのです。
一体どういうことでしょうか?
ルームエアコンの工事でも隠蔽配管などガス漏れ時に点検が不可能な場所では、継ぎ手を使わず溶接をします。
前記事では、隠蔽配管の接続部で長さが足りない配管と非常にタイトなスペースという2つの条件から判断して、接続時に溶接ではなく [フレアレスジョイント] を使用しました。
フレアレスジョイントを使用した施工
そのほか、改装工事の場合など火気厳禁の現場では溶接をしません。そのような場合は火無し継ぎ手を使います。
近年はメーカーが火無し継ぎ手を使った施工を推奨する動きが大きく、配管延長接続の際にはすべて火無し継ぎ手を指定する現場もあります。
溶接が主流だったエアコン工事の概念が覆されるかもしれません。
なぜメーカーが火なし継ぎ手工法を推奨するのかというと、建設業に携わる人材不足の影響が大きいと考えられます。
高齢化による溶接技術者の引退と若年層の離職率の増加によって、溶接作業に従事できる人々は減少状況にあります。
そこでメーカーは、人手不足に対応する新しい形での施工法を考えたのですね。
作業が簡単な継ぎ手を採用することで、教育や技術を必要とする溶接と?較して誰でも手軽に一定の施工精度を保つことが出来ます。
これによって建設業種の悩みである工期短縮を助ける効果もあるでしょう。
実はフレアレスジョイントはダイキンの業務用エアコンの工事の際にあらかじめ付属されてきます。
様々な業種が2024年問題に向けて新しい方法での働き方をみつけていかなければなりません。
そんな切実な思いが付属のフレアレスジョイントからは感じることが出来ます。
しかし、多くの職人さんはガス漏れの懸念のため火無し継ぎ手を使わずに、従来の溶接での施工を?うことが多いと思います。
確かに、火無し継ぎ手を安全に使うには銅管のバリ取り、正確なマーキングと完全な差し込みを確認し使用することが求められます。
ご存知の職人さんもいらっしゃるかもしれませんが、東尾メック株式会社の [おっぞんくん] や [れいわおっぞん] などはオンラインでの施工講習が開催されており安全な施工の周知の徹底が行われています。
様々な企業が火無し工法に注目して、今日ではワンタッチ挿入で施工が出来るワンタッチ継ぎ手も登場しています。
YouTubeでは企業によって様々な部材が施工方法を注意点と共に詳細に紹介されているので、興味のある方はまずは気軽に動画をチェックしてそれぞれ比較してみると楽しめるかもしれません。
そしてもし、採用してみたい!という部材に出会って、いざ使ってみたら、楽で良かった!
または、手間がかかって面倒だった等、職人さん同士で情報を共有し拡散することで、普及し、より良い製品が新し生まれる力になるのではないでしょうか?
今後、エアコン工事を含め建設業がどのような形で時代に対応して変化していくのか楽しみです。